第3回永井隆平和記念・長崎賞 受賞者プロフィール

ヨハネス・ヤコブ・プローセ

ヨハネス・ヤコブ・プローセ

● 主な経歴

1934年10月12日アムステルダム(オランダ)にて生まれる
1959年アムステルダム大学(核物理専攻)卒業
1961年-73年放射線生物学研究所、ライスワイク
1974年スタンフォード大学(放射線医学)、(米国)
1974年~91年放射線生物学研究所、ライスワイク
1986年~現在ライデン大学、非常勤教授
1991年~現在放射線防護・測定センター顧問、ライデン

● 受 賞

1976年デーモン・リュニヨン記念基金受賞
1999年ベック・アレキサンダー賞受賞

● 主な活動歴

下記の研究分野で多大な業績をあげられた。

  • 線量測定学:中性子測定、線量測定相互比較、生物学的線量測定、放射線診断時の線量測定
  • 放射線生物学:異なる放射線の生物学的影響、相対的生物効果の線質依存、細胞死発癌の線量作用関係
  • 放射線診断学:放射線診断時の放射線量・画像評価関係

また、下記の国際委員会では委員長を勤められ、社会的に貢献された。
生物学・医学分野の中性子測定委員会(国際放射線単位・測定委員会、ICRU)、1972-1977
中性子測定に関する物理学的データの収集・評価委員会(CENDOS、EURATOM)、1974-1978
ヨーロッパ中性子測定・相互比較委員会(ENDIP、EURATOM)、1975-1978
ヨーロッパ瞳床中性子測定委員会(ECNEU)、1976-1980
線量基準委員会(EULEP)、1970-1990

● 主な選考理由

ブローセ氏は、物理学者として放射線生物学、放射線防護学などの基礎研究に携わり、幅広い中性子測定の実験結果の報告を行っている。特に、同氏が1964年発表した中性子の酸素増感比および1971年の相対的生物効果(RBE)の研究成果は世界的に高く評価されている。同氏はその後、中性子被曝によるラットおよびアカゲザルの発癌研究をすすめ、放射線リスクの解析を行った。同氏は中性子のリスクと相対的生物効果を明確にした第一人者として高く評価され、氏の研究成果は原爆放射線とくに中性子の被爆者に与える影響を解析する上で貴重な資料となっている。このようにブローセ氏の放射線リスクについての基礎的な研究は、ヒバクシヤ医療の進展に大きく頁献しており、永井隆平和記念長崎賞の受賞にふさわしいと評価される。