2013 NASHIM 設立20周年及び長崎大学原研 創設50周年記念シンポジウム

NASHIM・原研合同シンポジウムでの講演の様子

主催者開会挨拶

NASHIM会長 蒔本 恭(長崎県医師会会長)
長崎大学学長 片峰 茂
長崎県知事 中村 法道

ご来賓からの挨拶

環境大臣政務官 秋野 公造 様
衆議院議員 北村 誠吾 様
文部科学省 村田 善則 様
厚生労働省 有賀 玲子 様
広島大学 神谷 研二 様
長崎市長 田上 富久 様

記念講演・特別講演

福島県立医科大学副学長、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授
演題:科学技術文明の光と影:原研とNASHIMの世界展望
講師:山下 俊一 氏

山下副学長の講演概要

人類史の中で放射線や放射能の発見からすでに100年以上が経過し、この間、常に過剰被ばくによる健康影響が話題となってきた。科学技術文明の進歩が醸し出した光と影が最も鮮明に位置づけられるのが、放射線事故・災害に伴う健康リスクであり、社会リスクである。特に、広島・長崎の原爆被災による急性ならびに慢性の放射線障害への対応には、基礎ならびに臨床医学における後障害医療研究を不可欠としてきた。チェルノブイリ原発事故から福島原発事故の関わり合いを含めて、長崎における原爆医療と医学研究の将来展望を探る。

記念講演:講師 朝長 万左男 氏
日本赤十字社長崎原爆病院院長、長崎大学名誉教授
演題:原研における原爆後障害研究の評価と今後の課題
講師:朝長 万左男 氏

朝長病院長の講演概要

研究活動は半世紀を超え、放射線の人体影響の「生涯持続性」を明らかにしつつある。急性放射線症による死亡率を明示した長崎医科大学の調来助教授と医師・学生らによる調査研究に淵源をもつ後障害観察が50年の長きにわたり続けられてきた。初期後障害である白血病の治療対応に追われる中、原研は創設され、現在もなお癌と白血病の持続および多臓器被ばくによる「多重癌」の実態が明らかにされつつある。1945年に臓器幹細胞のDNAが傷つき、遺伝子不安定性を引きずり、発がんに至るものと考えられる。被爆者の医療を担うべく創設された原研の業績をふりかえるとともに、今後の課題を展望する。

特別講演:講師 長瀧 重信 氏
長崎大学名誉教授、放射線影響研究所 元理事長
演題:長崎を世界に
講師:長瀧 重信 氏

長瀧名誉教授の講演概要

演者が長崎に赴任した1980年は、NASHIMは設立前、原研は創設17年目であった。「長崎を世界に」をモットーに、長崎から世界に発信できるテーマを求めて努力するなか、被爆した唯一の大学を再認識し、チェルノブイリ事故調査にも協力した。その経験が福島での長崎と長崎大学の貢献として活用されている。今後も、同じ目線で国内外の様々な組織と密接に協力しながら、人材の育成、知識の共有並びに拡大を通じ、長崎大学が世界のセンターであり続けることを祈っている。